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きのかちゃん

きのか特許事務所のマスコットキャラクター。知的財産権制度に詳しい、みかんの妖精。

甲田太郎

大手ゲーム会社を辞め、ゲーム開発会社「KODASH」を創業するべく準備中。
会社名を考案し、登記をしようと思ったところで、きのかちゃんに止められる。
そして、きのかちゃんから知的財産権制度について学んでいる。

早乙女うめ

梅ドリンクが名物のカフェ「Plumn」を経営している。
商標権侵害の警告を受けて慌てているときに、きのかちゃんと出会う。
そして、きのかちゃんから知的財産権制度について学んでいる。

商標法の目的を学びました。次は、商標法の代表的な特徴についてです。前後編でお届けします。

特徴その1:商標=マーク×指定商品・指定役務

商標登録されたからと言って、商標権者が一律にマーク(会社名、店舗名、商品名、ロゴマーク)を独占できるわけではありません。あくまで指定商品・指定役務との関係で、そのマークを独占できるだけです(商標法第25条)。全く関係のない指定商品について他人が同じマークを使用していても、文句は言えないのです。

したがって自分の現在のビジネスに沿った、適切な指定商品・指定役務を願書に記載することが求められます。また現在のみならず、将来行うビジネスに沿った指定商品・指定役務も、願書に記載することが望ましいです。

なお願書には、指定商品・指定役務だけではなく、これらの分類である「区分」も記載します。

ちなみに商標権者が使用を独占できる、この範囲(マーク×指定商品・指定役務)の権利を「専用権」と言います。

さらに商標権者は、この専用権のみならず、類似範囲の使用について、他人に「やめろ!」「金払え!」と言える権利を持っています。類似範囲についての権利は、「禁止権」と言います(商標法第37条第1号)。商標権者は禁止権の範囲でも商標を使用することができますが、事実上の使用が認められているにすぎず、法的に認められているものではありません。

特徴その2:商標は早い者勝ち!

特許、実用新案、意匠といった他法域でもそうですが、商標も「早い者勝ち」です。早い者勝ちとは、同様の内容を出願した人が複数いた場合、先に出願がした人(先願)が登録を受けることができる、ということです。

既に商標の使用を開始してしまっているのに、他人に先に商標権をとられてしまうと、他人から「やめろ!」と言われる可能性があります。「自分が先に使っていた」や「昔から使っていた」は、基本的に通用しません。これが通用して使い続けられるケースは、①不正競争の目的がなく、②自分の使用している商標が相当程度有名であり、③継続的に使用している、という場合に限られます(商標法第32条第1項)。

つづく・・・

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